BIGLOBE [BIG + GLOBE]


カタカナで書いた場合でも、ビッグローブ [ビッグ + グローブ]。大きい地球、ですか。インターネット普及期はパソコン通信&パソコンメーカーをバックグラウンドにしたニフティとビッグローブが個人向けISPの双璧でしたね。

で、これまた「ラムダッシュ」同様、横井惠子センセーの作品であります。ZYXYZ(どう考えても「ジサイズ」とは読めまい)のサイト[zyxyz.co.jp]によると

インターネットによって世界中とつながり合い、オープンで総合的なコミュニケーションが展開されることを表現する

とのこと。横井さんの著書『ネーミング発想法』[amazon.co.jp]にもこのネーミングの話が書いてあって、

見方によっては「big」+「lobe」という解釈も成り立ちます。幸いにも、この場合、「lobe」は「耳たぶ」の意味であるため、「大きな耳で情報を集める」という解釈ができ、思いがけず2倍の効果を発揮できたことになります。

なんというか、まず代理店を納得させなければならないクリエイターの悲哀を感じさせますな(^_^;)。

代理店の先にいるクライアントからしたら、「lobe」がどんな意味かなんてのはネガティブチェックレベルで良いはずですよ。少なくとも否定的な意味でなければいいわけです。どうせ国内専業のプロバイダですし、海外の顧客がいたとしても、「大きな耳たぶ」をそんなにポジティブに取る人なんていないでしょ(福耳って英語圏ではいわないですよね?)。会社としては「lobe」がマイナスにならなければいいんです。

あ、いま思いましたけど、もしビッグローブのロゴが大きな耳たぶだったら、歴史はどう変わっていたか・・・。

福耳ロゴ想像図

話を戻して、本質的には「マイナスじゃなければいい」という話を、おそらくは複数の案の中でこの「ビッグローブ」を推したい代理店やクライアント側担当者の思惑で「2倍の効果を発揮」みたいな話にして、それを企画会議の資料とか決裁文書にして、上の人に持っていったんじゃないですかね。

ネーミングって(私みたいな)シロウトでもいろんな意見が言えるので、大組織の中で何人もの権限者の決裁を通すのは大変なんですよね。なので無理な理屈のかたまりになっているようなネーミングが出てくるわけです。

そんな代理店的なこじつけと大組織の思惑をよそに、クライアントの先にいる、当時の一般のお客さまの反応を聞いてみたらどうなるか。

「ビッググローブ? なに、野球の話とか?」

そんなもんなんですよ、きっと。
日本人は「glove(手袋、グローブ)」という意味の「グローブ」の方を憶えるため「globe」が音として日本語の中に定着していないという欠点については、いまさら誰も指摘しないわけです。

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